どうも、くらの美容室です。
前回ゼラチンについて調べていたら多岐に渡り良い効果があることがわかっていてせっかく調べたんだからもう少し詳しく皆さんに知ってほしいなと思いました。
髪に起こるトラブルとゼラチン
ゼラチンが薄毛や髪のトラブルに効果がある理由は以前の記事でも書きましたがが、薄毛や髪のトラブルの原因を知ることで理解できます。
髪のトラブルは老化現象などのエイジング、ストレスや食生活による生活習慣ダメージ、カラーやパーマ剤によるケミカルダメージあたりが大きな要因です。
毛髪の悩みは白髪、癖毛、ボリュームダウン、薄毛、枝毛、ひっかかりなどを多くの方が感じていて原因の多くはエイジング+生活習慣ダメージからくる頭皮の状態が変化したことにあります。
頭皮は全身を覆っている皮膚の一部分で、肌と同様にコラーゲンが含まれていて弾力や柔らかさを保っています。このコラーゲンを作るためにゼラチンが使われます。
コラーゲンは加齢と共に減少して頭皮は薄く硬くなっていくのです。また髪の根本には毛乳頭という発毛や髪の成長を促す器官があり、ここにもコラーゲンがたくさん含まれています。コラーゲンが不足すると頭皮が不健康になり、薄毛や新しく生えてくる髪の質感が損なわれます。
頭皮の状態を簡単に確認する方法があります。
手で頭皮を触って動かして、動きにくさを感じたらそれは頭皮の調子がおもわしくない状態のサインです。頭皮が健康な状態だとある程度動きますが、コラーゲンが不足して硬くなると動きにくくなります。固くなった頭皮はコラーゲンの作用や日頃のマッサージ(頭皮を動かすようなシャンプーも○)で回復することもあります。

コラーゲンが不足する理由
コラーゲンはもともと体内に最も多く含まれるタンパク質で全タンパク質の20〜40%を占めています。
コラーゲンは体や臓器の形を支える働きを担っていて皮膚や骨、軟骨、腱など結合組織の構成成分になっています。
全コラーゲンの40%が皮膚、20%が骨や軟骨に使われています。その他にも血管や内臓など全身至る所に存在してその効果を発揮していて主に体の中で細胞と細胞の隙間を埋めるという大切な役割を担っています。
他にもコラーゲンは細胞同士をくっつける接着剤の役割りや、細胞の増殖や器官の形成、傷の治癒といった生体活動にも影響を及ぼしていると言われています。
コラーゲンは繊維芽細胞や軟骨細胞、骨芽細胞などから作られていてこれらの細胞はお互いに影響を与え合う関係性で成り立っています。
人の体の中では細胞により常にコラーゲンの分解と合成が繰り返されていますが加齢によりこの両者のバランスが崩れてしまい分解の方が多くなってその結果体の中のコラーゲンが減ってしまうことになります。
私たちの皮膚に存在するコラーゲンも加齢によって減少します。0歳を100%とすると、20歳で80%、30歳で40%、50歳には20%を切ってしまうのです。 コラーゲンが体内から減少し柔軟性を失ったために、シミやたるみが発生したり、関節や骨が傷んでくることもあります。

ゼラチンとは
ゼラチンは動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンというタンパク質から作られたものです。
コラーゲン分子に熱をかけると3本の分子がバラバラの状態になり、バラバラになった1本をゼラチンと言います。
このことからわかるようにゼラチンの主成分はコラーゲン由来のタンパク質です。全体の86% 以上を占めていると言われています。
ゼラチンをさらに詳しく
ゼラチンは以前の記事で紹介したように髪のトラブルや白髪対策に効果があることが海外の研究で明らかになっており、髪の成長が50%増加したと示されたり、髪の直径が大幅に増加し、太くなり、生えている毛髪数が増加したという結果が公表されています。
また脂漏性脱毛症や男性型脱毛症、休止期脱毛症にも効果があると言われています。さらに脱毛の原因が、自己免疫疾患でも遺伝的なものであっても効果があると考えられています。
ゼラチンのタンパク質は、髪の構成要素であるアミノ酸やペプチドに分解されます。ゼラチンに含まれるペプチドの1つにヒドロキシプロリンがあり、実際に発毛を促進する効果があると示されています。このヒドロキシプロリンを含むゼラチンには、髪や肌、爪になるタンパク質としての役割の他に、血流と血液量を増加させる効果があります。つまり頭皮の血液量が増え、血流が良くなることで発毛効果を発揮することが期待できます。
一方で、髪の毛の成分のうち約80から90%はタンパク質で、その中の80〜90%をケラチンが占めています。ケラチンは細胞骨格を構成するタンパク質の1つです。つまり髪の毛は、ほとんどがケラチンというタンパク質から作られています。頭皮の血流と血液量が増えることで髪の毛にもタンパク質を始めとする栄養が行き渡り、髪が太くなったり、毛量が増えたりすることになります。しかしケラチンが不足すると表面のキューティクルが剥がれ、うねりやパサつき、枝毛などが起こります。
ケラチンもコラーゲンもタンパク質の1つですが、ゼラチンに含まれるのはコラーゲン由来のタンパク質であるため、ゼラチンは頭皮の健康には良い働きがありますが、髪の毛自体には効果が少なく、残念ながらゼラチンにケラチンは含まれていません。しかしケラチンもコラーゲンも元はタンパク質でありアミノ酸まで分解されたものは再形成でケラチンタンパク質になる可能性もあります。どうであってもゼラチンやタンパク質を摂取して損はありません。

タンパク質が多いゼラチン
タンパク質は肉類、魚類、大豆製品、卵、乳製品などに含まれていますが1日でたくさんのタンパク質を取ることは困難です。
頭皮の健康のためにゼラチンを利用して加齢によって低下したコラーゲンを補う目的でゼラチンを利用するのがおすすめです。
コラーゲンは髪の根本にある真皮にありタンパク質の約70%は、コラーゲンで作られています。そして肌の弾力を保つエラスチンや真皮の隙間を埋め、肌の潤いを保つヒアルロン酸と共に健康な頭皮を作っていきます。またコラーゲンには、毛乳頭や毛母細胞を活性化させる働きもあり、毛乳頭への働きかけにより毛母細胞が増えることで髪の毛が伸びます。こちらは有名な話ですがコラーゲンは親水性があり潤いを肌に閉じ込める保湿効果があります。その保湿効果により肌の弾力とハリを保ち頭皮環境の改善につながります。ゼラチンの摂取量は1日10〜14gがおすすめで、大体スプーン1杯くらいです。
ゼラチンの健康効果
ゼラチンは高タンパク質でありながら脂肪分ゼロという非常に優れた食品です。
ゼラチンにはコラーゲン由来のタンパク質が約86%含まれており、そのタンパク質は18種類のアミノ酸で構成されていてトリプトファンを除く全ての必須アミノ酸を含んでいます。ただし注意して欲しいのはどんなものでもとりすぎは良くありません摂取する際には量には注意しましょう。
ここからは髪以外の健康効果です
骨粗鬆症の予防
ゼラチンとコラーゲンはアミノ酸組成がほぼ同じです。
アミノ酸組成はタンパク質を構成するアミノ酸の量を示した表のことです。そもそも骨はコラーゲンの繊維の編み目にカルシウムが取り込まれて骨が形成されるため、コラーゲンがないとカルシウムは骨にくっつくこともできません。
コラーゲンは骨密度を上げて骨を強くします、それに付随して骨芽細胞はたんぱく質を分泌して網目の構造を作り、強度を保っていてヒアルロン酸も増やしてくれます。
関節炎の緩和
関節には関節軟骨と呼ばれるものがあり、骨と骨との摩擦を防ぐクッションの役割を果たしています。
関節軟骨や腱、人体など関節を形成する組織はたくさんのコラーゲンを含んでおり、さらに関節の周りを囲んでいる関節液にはヒアルロン酸やタンパク質が含まれています。
上記の骨粗鬆症でも述べましたがコラーゲンは、ヒアルロン酸を支える役目もしているため、ゼラチンを摂取することで関節を動きやすくして関節炎に対しても有益に働きます。
血管の強化
コラーゲンは血管の壁を作る材料になるため血管を丈夫にすることができます。逆に不足すれば血管が劣化するため、柔軟性や弾力にかけて動脈硬化や高血圧に繋がるとされています。
血管に関しては循環器系疾患のために豚皮ゼラチンを用いて血管の形成を促進させる研究が進められています。
消化の促進
ゼラチンには消化を助ける効果もあります。消化器系の健康をサポートし、腸内環境を整える働きがあります。
安眠効果
ゼラチンに含まれてるアミノ酸の中にあるグリシンが睡眠の質を上げたり、抗うつ作用によって精神を安定させるため、自律神経のバランスが悪い人は積極的に取り入れると良いです。
ゼラチンだけでも安眠効果を期待することはできますが、その効果を高める方法に、味噌汁にゼラチンを入れると良いようです。
味噌の原料の大豆にトリプトファンが含まれており、睡眠を促すホルモンのメラトニンを作る材料になります。味噌汁にゼラチンを入れることでゼラチンには含まれていないトリプトファンを補うことができます。
トリプトファンは体内で作り出すことはできないため、食べ物から摂取する必要があります。
爪が丈夫になる
老化などによって爪の表面がもろくなった状態を改善する。こちらもちゃんとした研究の結果で認められています。ただし今の現状で脆い部分が改善するわけではなく新しく伸びてくる爪が丈夫で適度な水分やしなやかさを持った状態で生え変わってくるという意味です。髪と同じで痛覚はありませんし再生能力はないんですね。
傷が治りやすくなる
コラーゲン摂取すると線維芽細胞が増えます。線維芽細胞は傷口でコラーゲンの合成を活発にさせて修復をうながし傷の治癒を早めてくれたり手荒れなどの乾燥にも良いとされています。また肌の弾力を高めシワやたるみを軽減する効果がありますので定期的に摂取することで肌の保湿やハリを改善することにも繋がります。これが一番皆さんが聞いたことのある効果かもしれませんね。
肌については下のコラーゲンペプチドでさらに詳しく解説していきます。
コラーゲンペプチドの美肌効果
コラーゲンが1番多く使われているのは肌で全体の40%、そして肌は大きく分けて表皮と真皮、皮下組織に分けられます。
真皮の約70%がコラーゲンで、真皮から毛細血管を通じて表皮へ栄養を送り、血管を強くしているのもコラーゲンの役割です。ですのでコラーゲンが不足するとシワやたるみの原因になります。
コラーゲンは摂取してもそのままコラーゲンとして吸収されるわけではないと考えられていましたがここ最近の研究では摂取した時にコラーゲンは体内でアミノ酸まで分解される前にコラーゲンペプチドと呼ばれるコラーゲンを低分子化したものに変換されて体内で利用されることが分かっています。
コラーゲンペプチドの研究論文は多数あり、例えば日本人女性を対象とした研究で1 日5g のコラーゲンペプチドを8週間摂取してもらうと、肌の水分量、弾力、キメの粗さが改善された論文があります。
これは日本だけではなく他の国でも論文が発表されています。
コラーゲンペプチドによって肌の水分量が上がるのが分かってきたのは2015年で、それまではコラーゲンを食べても体の中で分解されて肌には届かないと考えられていました。
ですが多くの研究者のおかげでその定説はくつがえされ肌の水分量を上げ、乾燥肌やキメの粗さを改善することが分かってきました。
一方で人間の体内ではコラーゲンは年齢とともに減少するだけでなく、紫外線が当たると体の中のコラーゲンが壊れていくこともわかっていて、それを回収し新たにコラーゲンを作り出す機能が体には備わっています。
リサイクルする能力に関しては20代ぐらいから徐々に落ちていってしまうということもわかっていてそれを補うために新たに摂取することが潤いや髪を美しく保つために必要になってくると言うことです。
コラーゲンには受容体というものが3つあり、DDR2 インテグリンβ1 Endo180がコラーゲンを作る線維芽細胞にあるということ分かっていました。
その中のDDR2受容体を壊した時が一番コラーゲンの産生が低下することがわかり、一番コラーゲン再生能力が高いのがDDR2である事を2018年に発表されました。けっこう最近の研究なんですね。
DDR2という繊維芽細胞にある受容体を活性化すれば、皮膚の水分量を上げるだけではなくコラーゲンの産生を促すため、皮膚の弾力もアップすると考えられています。
そしてもっと最近の話なのですが2021年には、DDR2を刺激する成分イソクエルシトリンを発見されています。
イソクエルシトリンを線維芽細胞にあるDDR2に添加すると、分解して再構築する時にいつもよりもしっかりとしたコラーゲンを作ってくれるということが分かっています。
コラーゲンはアミノ酸配列のグリシンというところで切ると、他のコラーゲンペプチドよりも吸収率が良いことも分かっています。

ゼラチンが口から入って身体の中で使われる過程
ゼラチンは消化吸収されるときにはアミノ酸とペプチドの形に分解されてしまいます。
ですからゼラチンを摂取しても身体の中で元のコラーゲンと同じ形で必要な部位に届くとは限りません。
ではゼラチンを摂る意味が無いのかと言うとそう言うわけではありません。身体の中では必要な場所で必要なコラーゲンが合成されるため、材料になる成分は必要になります。
全ての栄養素は体内での細胞の合成には優先順位があります。
同じ栄養素が使われるのであればまずは生命維持に欠かせないものが優先になります。
逆に考えると毛髪は優先順位が低いものに当たるため、十分な量の材料(コラーゲンやケラチン)が揃っていなければ合成されにくいと言えます。
その点でもゼラチンを十分に摂取しておくことは意味があります。
合わせてコラーゲンを合成する際にはビタミンCが大量に使われます。
薄毛対策の一環としてビタミンCも多めに摂取するように心がけましょう。

まとめ
美容師の記事としては随分ヘアスタイルと離れた位置の内容に感じられたかもしれませんが私は美容師の仕事は髪やメイクで使ってその人をどう良く見せるのか気分を上げてあげられるかだと思っています。
髪の状態が良いと言うことは似合うと言うこととは同義ではありませんし、また似合っていても肌の状態が良くなければそちらに目がいってしまいます。
そう思うと美容師の仕事にはお客様の健康を思うことも含まれてるのかもしれないなぁと今回の内容を調べながら感じました。
それ以外にも良い髪の状態であれば美容室でする施術のできる幅も広がりますし良いことばかりです。
髪にも良い上に健康効果もあるゼラチンを取り入れてみてはいかがでしょうか
この記事が皆様のお役にたてば幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
コメントを残す