
昨今の美容業界にはシャンプーやトリートメント、アウトバス製品などたくさんの種類があります。
その中での選択肢の一つとしてやりだまによく上がるのがノンシリコンのアイテム。
例えばなんとなくシリコン入りは頭皮や髪に残ってしまうので良くないとか、ノンシリコンは肌にも髪にも優しいとか一般的には言われています。ですが、それって本当なの?と意外ときちんとわかっている人は少ないんじゃないかなと思います。
今回はホームケア商品を選ぶ際に知って欲しいシリコンとノンシリコンについてのメリット・デメリット詳しくお伝えしていきたいと思います。
シリコン入り製品
メリット
滑らかさとツヤ シリコンは髪の表面をコーティングし、滑らかさと光沢を与えます。これにより髪が絡まりにくくなり、指通りが非常によくなります。
熱や摩擦からの保護 シリコンのコーティングは髪を包み込み、熱や摩擦から髪を守るバリアとして働きます。スタイリングツールの使用時にダメージを軽減します。
湿気対策 しっかりコーティングした上でドライしておけば湿気の多い環境でも髪が再度水分を吸収することを緩やかにし広がりにくく、スタイルを維持しやすくなります。
デメリット
蓄積の可能性 シリコンには髪に蓄積しやすい種類があり、長期間使用すると髪が重くなったり、ペタッとした印象になることがあります。またカラーが染まりにくいパーマがかかりにくいなどの施術にも悪影響が出る場合があります。
髪の健康が分かりにくい シリコンが髪のダメージを一時的に隠すため、髪の本来の健康状態がわかりにくくなることがあります。
洗浄の必要性 髪に蓄積したシリコンを除去するためには、定期的にクレンジングシャンプーを使用する必要があります。
ノンシリコン製品
メリット
自然な仕上がり 髪が軽やかで自然な状態に仕上がります。髪本来の質感を楽しむことができます。
蓄積がない シリコンがないため髪に蓄積することがなく、重くなったりベトついた感じになったりしません。
頭皮への優しさ ノンシリコン製品は頭皮や髪への蓄積がなく予後のトラブルがなく安心です。
デメリット
滑らかさの不足 シリコンによるコーティングがないため、髪が絡まりやすく、櫛通りが悪く感じることがあります。シリコンに変わる擬似キューティクルで補う必要があります。
保護効果の低下 熱や摩擦に対する保護が少ないため、スタイリング時に注意が必要です。他の保護アイテムを使用するなどした方が良いです。
湿気による広がり 湿気の多い環境では、髪が広がりやすくなることがあります。他の湿気対策をする必要があります。
シリコンは大まかに4種類(+1)に分類できる

シリコンと巷では言われていますが成分表ををみてもシリコンとは書かれていません、一言にシリコンといっても実はかなりの種類がありその効果はそれぞれによって違ってきます。
基本的には「メチコン」「シロキ」「シリル」「シラン」これらがシリコンを表す表示になります。下記にあるようにまたとりあえずシリコンの種類をさっと調べてでてくるだけの分をみてみましょう。(覚える必要はないので読み飛ばしてください)
(PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレーツ)コポリマー
ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)
ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)
ヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)
コポリマー(ジビニルジメチコン/ジメチコン)
クロスポリマー(ジメチコン/ビニルジメチコン)
コポリマー(ジメチコン/メチルフェネチルシロキサン)
コポリマー(ナイロン-611/ジメチコン)
コポリマー(ビスブチロキシアモジメチコン/PEG-60)
クロスポリマー(加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール)
DEA-PGプロピル(PEG/PPG-18/21)ジメチコン
PEG/PPG-19/19ジメチコン
PEG/PPG-20/15ジメチコン
PEG/PPG-20/20ジメチコン
PEG/PPG-20/23ジメチコン
PEG/PPG-23/6ジメチコン
PEG/PPG-30/10ジメチコン
PEG/PPG-5/3トリシロキサン
EG-10ジメチコン
PEG-10メチルエーテルジメチコン
PEG-12ジメチコン
PEG-17ジメチコン
PEG-7ジメチコン
PEG-7メチルエーテルジメチコン
PEG-8ジメチコン
PEG-9ジメチコン
アミノプロピルジメチコン
アミノプロピルフェニルトリメチコン
アモジメチコン
アルキル(C30-45)ジメチコン
アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー
アルキル(C30-45)メチコン
加水分解ゴマタンパクPGプロピルメチルシランジオール
加水分解野菜タンパクPG-プロピルシラントリオール
カプリリルメチコン
シクロヘキサシロキサン
シクロペンタシロキサン
シクロメチコン
シスチンビスPG-プロピルシラントリオール
ジメチコノール
シメチコン
ジメチコン
ジメチコンクロスポリマー
ジメチコンコポリオール
シロキシケイ酸ジイソステアロイルトリメチロールプロパン
ステアリルジメチコン/ステアロキシトリメチルシラン
セチルジメチコン
セテアリルメチコン
トリシロキサン
トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸
トリメチルシロキシケイ酸
トリメチルペンタフェノキシエタノールニルトリシロキサン
ビス(13-15アルコキシ)
PGアモジメチコン
ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン
ビスアミノPEG/PPG-41/3
アミノエチルPG-プロピルジメチコン
ビスフェニルプロピルジメチコン
フェニルトリメチコン
フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸
ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
ポリシリコーン-13
ポリシリコーン-14
ポリシリコーン-18
ポリシリコーン-18セチルリン酸
ポリシリコン-15
ポリプロピルシルセスキオキサン
ポリメチルシルセスキオキサン
メチコン
ラウリルPEG/PPG-18/18メチコン
ざっと上がるだけでもこんなにあります、しかも似たような名前で数字が違うとかコポリマーと書かれていても実は中身は色々違ったり。
同じ名前でも分子量(成分の大きさ)が違うなど専門家でもない限り本当に多種多様で簡単に覚えることはできません。
自分でも調べていて変な汗がでてきます(汗)
ですので、まずは大きく4つの種類のシリコンに分けたいと思います。
1 ジメチルシリコン
ジメチコンやジメチコノールといったよく目にするシリコンです。
分子量が小さいものから大きいものまで様々あり、高分子のものはしっとりとした質感に、分子量の小さいものほど軽くサラっとした質感になります。
成分表ではジメチコンと記されていることが多く分子量までは分かりません。高分子の被膜効果の高いものほど洗浄時に落としにくくなります。落とし切らずに次のシリコンを追加していくとシリコンの層が2重、3重となっていき(ビルドアップ)毛髪や美容施術に悪影響を与えます。
2 揮発性シリコン
文字通り揮発性のシリコンで蒸発します。
コーティングするためではなく、高分子のシリコンを他の成分と混ざりやすくするために使われます。使用感はサラッとしていて塗布時のべたつきを抑えたり伸びをよくします。成分表ではシクロメチコンやシクロペンタシロキサンなどがあります。
3 アミノ変性シリコン
毛髪に吸着しやすくするためにカチオン化されたシリコン。
カチオン化が高く分子量が大きいほど髪への吸着力が高くなります。吸着力が高いほどしっとり感や手触りの向上感は高くなりますが、その分シャンプーで落ちにくくなり毛髪に残りやすくなります。成分表ではアモジメチコン、アミノプロピルジメチコンなどがあります
4 ポリエーテル変性シリコン
ジメチコンと界面活性剤を混ざったもので、界面活性剤の効果で水溶性が高く洗い流しやすいシリコンです。
シャンプー時や髪が濡れている時のきしみを緩和しシャンプーの泡質の調整にも使われます。成分表ではジメチコンコポリオール、ポリシリコーン13、PEG-○ジメチコン などがあります。
基本的には上記の4種のシリコンが使われていることが多く、それぞれによって特性が違ってきます。
ジメチコンとアミノ変性シリコン系はしっとり感は強いが残留しやすいのがわかってもらえれば大丈夫です。
タンパク質とシリコンをくっつけた特殊シリコン
- (ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン
- (ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン
- (ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク
- (ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク
- 加水分解コラーゲンPGプロピルメチルシランジオール
- 加水分解ゴマタンパクPGプロピルメチルシランジオール
- (加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマー
- (トリメチルシリル加水分解コラーゲン/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマー
PPT(タンパク質)にシリコンをくっつけた成分で損傷部分の吸着性に優れており毛髪補修や補強効果+シリコンによるコーティング効果が合わせて得られる成分です。
ドライヤーやヘアアイロンの熱に反応して毛髪に皮膜を作るため、熱を与えることでコーティングや質感が向上します。ヒート〜PPTやヒートプロテイン〜、ヒートアクティブ〜という呼ばれ方をする場合もあります。
従来のシリコンの欠点であった連続使用によるビルドアップ(蓄積)を防ぎ、ほどよい質感を持続させることができます。
シリコンは毛髪や頭皮には悪いのか?

上記のシリコンの特性を踏まえた上でシリコン使用はアリなのかナシなのか?良いのか悪いのかを考えていきます
結論は毛髪にはアリ、頭皮にはナシです。良い効果もあるが過ぎると悪くもなります。それに対する注意点を下記で詳しく説明します。
シリコンが入った製品の使用方法・注意点
・まずはシャンプーにはシリコンは必要ありません、シャンプーは髪だけではなく頭皮も洗いますので洗い落ちやすいシリコンであっても特に必要はないと思います。念の為に毛穴にシリコンが蓄積しないように不安材料は減らしておいて良いと思います。
・トリートメントやアウトバスにシリコンが入っている分には大丈夫です、しかし使用する場所は中間〜毛先にのみです。
根本付近は相当な扱いでなければきしむことはありませんし、シャンプーでノンシリコンを選んだ意味がなくなます。
・さらに気をつけたいのが蓄積しやすいタイプのシリコンが入っている物は使用頻度を調節すること(毎日使用しない)と、シャンプーとトリートメントはセットで使用しましょう。
シャントリをセットで使用することは意外と大切で、シリコンの種類や蓄積を考慮してシャンプーの洗浄力も調整されていることが多いのですごくしっとりするシリコン入りのトリートメントの場合、それに見合った洗浄力がないとどんどん蓄積していきます。市販のシャンプートリートメントに多いパターンですね。
洗浄力の強い物で洗うと毛髪のダメージはそれだけ大きくなります、そしてまたそれを補うために強力なシリコンでコーティングしています。
例えるなら、思い切りぶん殴った後に強く抱きしめるみたいな行為を髪にしている感じです(汗)
最初から優しくして洗浄してあげれば強力なシリコンは必要ないので、やはり優しいシャンプー剤に越したことはないでしょう。
ぶたれた傷はコーティングで一見回復したように見えますがずっと傷として残りますので優しく扱ってあげましょう笑
・シリコン入りアイテムはセットで使用していても蓄積が勝つ場合があります、その場合は一時的に洗浄力の強いシャンプーに変えるか、シリコン系のアイテムの使用をストップしましょう。
元々の毛髪のダメージが進んでいるほどシリコンは強固に吸着しますし、その上からアイロンなどの熱処理をしたらさらに固着することもあるので使用しているシリコンがどんなタイプに分類されるのかチェックしておいていいかもしれません。
ノンシリコンの使用感
ノンシリコンのシャンプーは洗った直後、ダメージが進んでいる人はきしみが出てしまいますがある意味ノンシリコンである証ともいえます。(※シリコン以外の質感調整成分で対応してる物もあります、カチオン性ポリマーが使用されることが多いですがこれについては別の記事で解説いたします)
「このシャンプーいい値段なのに(ノンシリコン)ギシギシして全然ダメだったわ〜」なんてお客様に言われることもあります、がそれは良いシャンプーの証拠だと思ってください。そしてノンシリコンシャンプーでもきしみがある程度なくなるまで毛髪のダメージを減らしていけるように目指して扱っていきましょう。
シリコン製品をシャンプー、トリートメント、アウトバスと連続して使用し続けると蓄積の怖さもありますが今の現状のダメージがわかりにくいのも問題ですね。
シャンプーで毛髪についているシリコンをリセット(ダメージの強い方はきしみは出る)トリートメントもしくはアウトバスアイテムで質感をコントロールするというイメージを持ちましょう。
シャンプーしてもつるつる、トリートメントでもっとツルサラ、アウトバスで超ツルツルしっとりなんて場合は髪にとっては良いことないです。
シリコンが蓄積(ビルドアップ)すると光が乱反射して汚くなってきますし、なんかねっとりしたり、ネトネトしてきて髪が乾かなくなってきたりします、また美容室で施術した際にもうまくカラーが染まらなかったりパーマが当たらなかったりなどの弊害もでてきます。
まとめ
①シャンプーはノンシリコンが良い
②トリートメントとアウトバスは入っていてもOK(ただし使用頻度などは気をつけて)
③シャンプーとトリートメントは基本セットが良い
④もしビルドアップしてきたら洗浄力の強いシャンプーを使うか、シリコン製品を休憩する
⑤頭皮にシリコンは必要ない、毛髪はある程度はOKだけど極力ビルドアップしにくいシリコンの物を選ぶ
⑥ノンシリコンシャンプーは基本、洗い上がりはきしみやすいので手触りや質感はトリートメントやアウトバスアイテムで調整する
以上になります、シリコン=悪ではないので特性を知り上手に使用していけるようにしましょう。
この内容が皆様の美髪のお役に立てば幸いです、また次の記事でお会いしましょう。
コメントを残す