毛髪ダメージの原因と予防・対処法

髪が傷むと一言でいっても原因は様々で予防法や対処法は変わってきます、今回はダメージの原因の細分化とそれに対する予防と対処を説明していきたいと思います。

薬剤ダメージ

カラー、パーマ、ストレートによるダメージは一番最初に頭に思い浮かびますね。ただ薬剤ダメージにも種類があり、それぞれによって対処の仕方が変わってきます。

薬剤施術時に受けるダメージ

そのままの意味で薬剤が髪に塗布されてそこで化学反応がおこりダメージを受けます。

予防 必要以上に強い薬剤を選択しない。

対処 すでにダメージが進んでいる毛髪にさらに薬剤を塗布する場合は処理剤で毛髪に必要な成分を補いながら施術する。

薬剤施術後に受けるダメージ

薬剤施術をした後シャンプーや水洗では取りきれない残留薬剤があります。毛髪や頭皮に数日〜数週感残りダメージの進行やカラーやパーマの質を低下させてしまいます。

予防・対処 しっかり髪を乾かす、処理剤で中和・除去、シャンプーやトリートメントで残留薬剤に対処できるものを選ぶ。

残留する化学物質は大きく分けて3種類になります、その3つそれぞれに対処可能な処理剤は違ってきます。下記で残留物質にあった処理剤をもう少し解説します。

残留薬剤対応別処理剤

残留する化学物質には還元剤・アルカリ剤・過酸化水素があります、それぞれ残ってしまうと悪さをしてしまうのですが施術をする際にはどうしても必要なものになります。

還元剤はパーマやストレートに入っていて毛髪内部の結合を切ってくれる役割があります。

アルカリ剤はパーマやストレート、カラーにも含まれていて薬剤の効きをよくしてくれます。

過酸化水素はパーマやストレートで切った結合を繋ぎ直してくれますし、カラー剤では色味の発色を行なってくれます。

どれも美容師施術にはなくてはならないものですね。それでは残留物質の及ぼすダメージと処理剤を説明します。

還元剤

パーマ・ストレート  

結合を切る役割ですので残っているとストレートやウェーブの結合が切れて癖戻りやウェーブのダレを起こしてしまいます。特に濡れているときに働きが強くなるのでドライすることが重要です。

処理剤

ヘマチンや銅クロロフィリンナトリウムなどが有効です。またそれらの効果を最大限に高めるためには事前の水洗も大切になってきます。

アルカリ

カラー・パーマ・ストレート

毛髪のアルカリ性になる事で膨潤状態が続き毛髪内部のタンパク質や色味、トリートメント成分が流れ出やすくなってしまいます。濡れているとそれによっても膨潤します、すぐにドライしましょう。

処理剤

ヘマチンやキトサン、フルーツ酸などが有効です。同じく事前水洗が大切になります。

過酸化水素

カラー・パーマ・ストレート

メラニン色素やカラー剤を分解してしまい色落ちが早くなる。ケラチンを過剰に酸化して強度が低下するしパーマがだれやすい。活性酸素そのもので老化を促進してしまう。

処理剤

カタラーゼやヘマチン、銅クロロフィリンナトリウム、フムスエキス、ホップ花エキスなどが有効です。事前水洗も大切です。

残留化学物質は1〜3週間くらいは残ると言われています。その間は上記のようなデメリットが発生し続けるわけです。毛髪は一度ダメージを受けると自己修復はしません、大事なのはあとでトリートメントをする事よりもどれだけダメージを減らせるかの方が大切ですので薬剤施術での処理剤は超重要なのです。

処理剤で中和、除去し。それでも取りきれなかった残留物質はホームケアで処理していく。

これが薬剤による毛髪ダメージを極限まで減らす方法になります。

処理剤の成分を見てもらえれば、ホームケアで必要な成分は同じです。まずは予防するために必要な成分が入っているか、その次に足りない栄養分を補修する成分がはいっているかの順番で選ぶとバッチリです。その上で好きな香りのものや手触りの良いものが見つかると最高ですね。

有効な処理剤

ヘマチン 万能処理剤、薬剤施術後には必須といえます。髪のダメージ進行からあらゆる角度で守ってくれます。傷んでなくてもストレスなどで発生する活性酸素の除去もしてくれますヘッドスパと組み合わせても相性が良いです。

クロロフィリンナトリウム 還元剤の減力や過酸化水素の分解に一役買ってくれます。そのほかにも疎水結合の強化、PPT(タンパク質系の栄養素)を定着させる働きももあり、さらに残臭の除去もしてくれます。

フルーツ酸(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などの総称) 残留アルカリの中和をしてくれます、それにより毛髪が元の弱酸性に整う手助けをしてくれ収斂効果によって開いたキューティクルを引き締めてくれます。

アルカリで切れた塩結合の再生をさらに強化してハリコシの回復にも効果があり、またその名の通りフルーツが瑞々しさを保つために必要な酸の事ですので保湿力向上もしてくれます。フルーツ酸には多くの種類がありますので色々なものが使用されています。

※塩結合(イオン結合)は薬剤のアルカリによって切断されますがpHが弱酸性に戻っても再結合はされません、ただしフルーツ酸やレブリンなどで再生することはできます。

カタラーゼ 過酸化水素の分解反応を促進します、過酸化水素にカタラーゼが触れると

2HO(過酸化水素)+カタラーゼ→HO(水)+O(酸素)

水と酸素に分解反応を促進します。

しかもカタラーゼ自身は分解反応の前後で変化しない特徴も持っているので少しのカタラーゼでも時間さえあれば過酸化水素を分解し続けてくれます。

フムスエキス 過酸化水素の除去をします、また活性酸素を除去し細胞を活性化していく作用があります、フヌムエキスは太古の植物や海洋性生物などが堆積した特殊な「腐植土」を熟成し抽出したエキスで高分子有機酸のフルボ酸をはじめとして、ミネラル、アミノ 酸などが含まれています。

ホップ花エキス 過酸化水素の除去5α-リダクターゼ(男性型脱毛症に関与)阻害による育毛効果、毛根由来細胞の増殖促進作用による育毛作用に白髪抑制効果もあります。

日常ダメージ

熱ダメージ(アイロン、ドライヤー)

乾いた髪のタンパク変性が始まる温度は130℃程度ですが、濡れた髪のタンパク変性が始まる温度はさらに低い60~70℃程度です。

ただ毛髪に熱を入れる場合はカールをつけたりクセを伸ばしたりする際にヘアアイロンを使用することがほとんどです。確かに130°Cからタンパク変性は始まりますが髪質にもよりますが実際は130°C以下でクセを伸ばしたりカールをつけることは非常に大変でその分時間をかけてアイロンする必要がでてきます。

そうなると本末転倒ですのでヒート補修成分をつけて160〜200°Cでささっと仕上げてあげたほうがダメージもすすみません。ただし髪が濡れている状態でのアイロンは御法度です。稀に『アイロンでジュっとなるとクセがしっかり伸びるからいいんですよね』なんてお客様から言われますがそちらは大変な誤解ですのでご注意ください。ドライヤーでしっかり乾かしてからアイロンしましょう。

中にはドライヤーは熱で髪が傷むからとおっしゃる方もいますが、下記で説明しますがウェットによる弊害に比べたら全然大したことありません。美髪=乾かすは絶対条件です。

※一部レブリン酸などの毛髪補修成分はアイロンの熱を必要とします、水分を飛ばしている状態でも湯気が出ますのでそちらは上記には当たりません。

ホームケア不足ダメージ ウェットダメージ

ホームケア不足によるダメージは大きく分けて3つあります。

1つは濡れている状態(ウェット状態)のダメージ、もうひとつはシャンプーによるダメージ、最後3つ目はトリートメント、アウトバスケア不足によるダメージです。

ウェットダメージ

濡れた髪は水素結合が切れている状態で、乾いている髪に比べて髪の毛が柔らかく、繊維としての強度が6〜7割程度まで落ちてしまいます

しかもキューティクルがめくれやすい状態のため、ダメージを受けやすくなってしまうのです。

そんなデリケートな状態で寝てしまうと、成人の頭の重さは男性は5〜6キロ、女性は4〜5キロありその圧力で6〜8時間枕にこすり圧をかけ続けると考えるとすごくダメージが進行するのは想像に難くないと思います。

また、パーマ施術をされている場合は処理剤をしていたとしてもそれでも微量の還元剤が毛髪内部に滞在しています。そして還元剤は濡れると効果を発揮し出します。髪の結合を切る役割の還元剤が家でも動き出し結合を切ってしまうと、せっかくのストレートやウェーブの形が変わっていってしまうのです。

ウェットダメージその2

汗をかいて濡れている状態もまたウェット状態といえます。ですが水で濡れていることとはまた違うダメージが発生する恐れがあります。

発汗し毛髪や皮膚の表面に流れ出るようになると、いろいろな変化がもたらされます。

エクリン腺から分泌されるは主に体温調節のためのもので、臭いがなく、酸性になっています。

ですがアポクリン腺から分泌されるは、精神的な緊張や刺激などによって分泌されるもので、たんぱく質・脂質・アンモニアなどを含んだアルカリ性のものになっています。こちらが毛髪にとって非常に問題で
汗は通常pH値は4.5〜5.5の間(酸性)です。

ところが発汗してくるとこのpH値は次第に上がって7近くになり、アルカリ性になっていきます。

この状態で耳掛け、髪を結ぶを長時間繰り返すと元のシスチン結合が切れてしまいランチオニン結合という見た目は髪ですがもはや違う代物に変わってしまいます。この結合非常に厄介で美容室の薬が効かないんです。

できるだけ早く洗って乾かしましょう。

詳しくは

→髪を結ぶ 耳にかける事でつくクセ(ランチオニン結合)https://kurano.style/research/tie-your-hair-up-xeranthionine-bonds-formed-by-hanging-your-hair-over-your-ears/

ホームケア不足ダメージ

髪を乾かすこともホームケアといえますが上記で加えているのでここでは割愛します。ドライイング以外のホームケアといえばインバス(シャンプー・トリートメント)アウトバス(ミスト・オイル・ヘアミルク等)でしょう。

この中で誰にでも大事なのはシャンプーに他なりません。髪は洗うだけでダメージが進みます、しかも薬剤処理がなされている毛髪は処理剤をしたとしても毛髪内部には残留アルカリ、還元剤、過酸化水素が微量残っています。

残った残留薬剤を除去し、また毛髪補強成分を含んだシャンプーが大切になってきます。どうしても手触りや香りに気が向いてしまいますが質感向上剤はあくまで対処療法。

風邪をひいてから風邪薬を飲むのか、そもそも引かないように予防するのか。まずは予防が大切ですよね。処理剤+ホームケアでしっかりとダメージに対する予防をしていきましょう。

シャンプー以外の物はまず土台があっての物なので優先順位はまずシャンプー+ドライイング+@といったように捉えてくださいね。

紫外線ダメージ

毛髪はタンパク質でできています、その中でシスチン結合で結びついて成り立っているのですが紫外線はこの結合を壊してしまいます。

また毛髪の色素のメラニン色素は紫外線B波により分解されますし、キューティクルにもダメージを及ぼしてしまいます。

最近はUVカットのヘアスプレーなどもありますが、もし抵抗があるようでしたら分け目を細かく変えてあげたりすることで紫外線の毛髪や頭皮へのダメージを分散させてあげることができます。

その他の環境下でのダメージ

他にもジムのプールに通っている方は塩素でのダメージ、マリンスポーツや漁関係の方は海水のダメージなどあります。

プールではキャップでできるだけ濡れないようにしたり、あとはプールでも海でもですがしっかりと真水で流してあげましょう。

今回は意外と知られていないダメージの原因について、書き上げましたがいかがだったでしょうか。

もちろん、くらの美容室では残留薬剤に対しての処理剤、ホームケア商品もご用意しています。

髪が綺麗であれば自分の気分も良いですし、周囲からも好印象であることは間違いありません。薬剤施術をされる際には是非処理剤を一緒にオーダーしてみてください。

また家ではしっかり乾かすことと、自分の髪に合ったシャンプー剤をご利用になってください。

こちらの記事が皆様のお役に立てれば幸いです。また次の記事でお会いしましょう。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です