髪質改善・酸熱トリートメントやストレートについて(グリオキシル酸)

こんにちは、くらの美容室です。

今回は髪質改善成分として近年注目し使用されているグリオキシル酸について解説しようと思います

内容としては若干、美容師さん目線になりますがお客様が知っていてもためになる内容もありますのでよければご一読ください。

髪質改善・酸熱ストレート、トリートメントとは

近年美容室では髪質改善や酸熱を謳ったストレートやトリートメントが注目を集めています。

聞いたことがあるし、動画サイトなどでみたことある方も多いのではないかと思います。

ですが従来のトリートメントやストレートとの違いはなんなのかをわかる一般の方は多くはないと思います。

大きな違いはありますが、定義がきっちり定まっていない部分もありますのでその辺りも知っていただけたらなと思います。

まずは大まかに言うと、ほとんどの美容室での酸熱・髪質改善と言われている物はグリオキシル酸かレブリン酸を主体に使用されている物を指しています、あとは薬剤のpHが中性〜酸性域の物だったりします。

中性や酸性の薬剤が出てくるまではアルカリ性のものがほとんどでした。

グリオキシル酸の効果

今回はその中でもグリオキシル酸についてお話ししていきます。

グリオキシル酸は、髪のクセを落ち着かせたり、艶感や手触りの改善に使用されることが多い成分です。

髪の内部に働きかけてクセを緩和し、毛髪を落ち着いた状態に整えます。酸性の環境下で髪の構造を一時的に変化させることで、髪を柔らかくし、扱いやすくします。

ただしクセを緩和すると言っても、縮毛矯正などの半永久的にストレートになるわけではありませんし、使用した直後でもあくまでクセが少し収まりよくなってるのであって真っ直ぐになってると感じるかどうか人によって違います。縮毛矯正との違うということは把握しておくことが大切です。

ご自身が思い描くストレートのイメージはグリオキシル酸等を使用した髪質改善や酸熱トリートメントで叶うのか、それもやはり縮毛矯正が必要なのかは、担当の美容師さんとしっかり相談する方がよいでしょう。

トリートメントの施術後は、髪を適切にケアすることで、効果を長持ちさせることができます。

グリオキシル酸によるデメリット

現在の日本の美容業界では、髪質改善ストレート(酸熱ストレート等)や髪質改善トリートメント(酸熱トリートメント等)の主成分としてはグリオキシル酸やレブリン酸が使用されていることが多いです。

ですが特に髪質改善トリートメント・ストレート=グリオキシル酸と定義づけされているわけではなく、お店によってストレートをそう呼んでいるところもあり様々です。

デメリット1

定義が決まっていないこと、もしくは施術前の説明が不十分だったことでいくつか問題が起こっています。

当店でもちょこちょこお見かけするのですがストレートの履歴がない(とお客様は思ってる)のにどうみてもストレート履歴アリだったり、トリートメントでストレートになると思い込んでいらっしゃる方もいて、困ることがあります。

上記の勘違いから「髪質改善したらジリジリになったんです」とカウンセリング時のお話しで聞くことがあります。

これには2つの可能性があって、

①トリートメントだと思っていたら実はストレートで施術されていた。

②グリオキシル酸の酸熱トリートメントを高頻度で施術した。

です。

ストレートはダメージが進むと明らかに痛みを感じるのはわかりますよね。トリートメントに関しては、なんで?となりますよね

これはグリオキシル酸を主成分にした酸熱トリートメントで起こってしまう可能性があるのですが、毛髪が酸性に振りすぎて収斂し、そこに熱を加えることで毛髪が硬くなってしまうことがあります。

グリオキシル酸の量が多くてしかも、短いスパンで何度もしてると逆にダメージを負ってしまいます。

せっかく髪に良いと思ってトリートメントしていたのに悲しい結果になってしまいます。

①に関しては、ストレートだったら美容師さんはちゃんと教えてあげて欲しいと言うのが第一ですが。お客様も今自分が何をされているのかはしっかりと聞いて最低限のことは把握しておくことが大切でしょう。

最後に自分の髪を守るのは自分自身ですからね。

②は、美容師さんがしっかり勉強しておかないといけない部分でもあります。自店の髪質改善・酸熱トリートメントはグリオキシル酸なのか、はたまたその他の成分なのか。

グリオキシル酸だった場合、短いスパンで何度もお客様が髪質改善トリートメントをご希望だった場合にリスクの説明をしてあげるべきですし、お客様のご希望や気持ちを叶えてあげたい場合はグリオキシル酸の濃度を調節したり、アルカリ剤との組み合わせで使用できるタイプのトリートメントを導入するべきでしょう。

悲しいパターンは1度目はすごく良くて2度目はやってもらったからよくなってると思い込んでしまい、でも実際は1度目より仕上がりは堅いので、さらに早いタイミングで「髪がダメージ受けてるからまた髪質改善トリートメントしにいこう!」ってなっちゃうパターンです。

そこに美容師側もこれを知らずに施術し、これを繰り返すと最後は本当に大変なことになってしまいます。

デメリット2

カラーの染まりにムラがでやすくなります、グリオキシル酸は酸と名前についてるように酸性で、ヘアカラーはアルカリ性なんです。

毛髪が酸性に振っている状態ではアルカリ性のカラー剤は正常に効果を発揮できず染まりむらが起こってしまいます。

グリオキシル酸の含まれている髪質改善・酸熱トリートメント後は1週間は間隔をあけてヘアカラーをしましょう。

デメリット3

グリオキシル酸を使用した施術後には少し残臭があります、とはいっても髪が乾いている状態では匂いを感じることはあまりないんですが濡れると残臭を感じやすくなります。

これはグリオキシル酸に限ったことではありませんが、美容室で使用される多くの薬剤は水分でまた動き出して残臭を感じる傾向にあります。

どんなにしっかりシャンプーしても流しても毛髪内部に薬剤の残留が残ってしまいますので処理剤などで対処するしかありません。

自身も含め、新しい物が出てきた時はしっかりと勉強しておかないといけませんね。

グリオキシル酸の副作用

グリオキシル酸を使用した施術には絶対に知っておかないといけないリスクがあります、それが副作用の話になります。

上記の高頻度で使用しちゃうと髪がダメになってしまう以外にまだあるの?って思うかもしれませんが、今回の記事はこの副作用のことがメインでお伝えしたい内容です。

これは一般のお客様もですし、美容師側は絶対に知っておかなければならない内容です。

日本ではまだ起こってない例なんですが、グリオキシル酸を使用したストレートもしくはトリートメントで経皮吸収によって、急性腎障害を引き起こした例が26件も報告されていると言う事です。

※ニューイングランドジャーナルオブメディシンから引用↓

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2400528

NEJM(The New England Journal of Medicine)誌に載せられている内容では、

症状名は急性シュウ酸腎症と診断され尿細管内にシュウ酸カルシウムの沈着と尿細管の損傷を起こしています。また嘔吐、下痢、発熱、背部痛を曝露した方の多くがうったえています。

今の所、日本ではそういった事例は報告されてませんのでそこは良かったところです。

グリオキシル酸は髪にとっては有効に使用すると、とても良い作用をもたらしてくれるのでネガティブキャンペーンをしたいわけではありません。使用する側は必ずこういったデメリットにも目を向けお客様に害がないように扱わなければいけません。

基本的に日本ではストレート剤やトリートメント剤を頭皮から塗布することはありませんから、経皮吸収など起こるはずもないはずです。

その点でいうと海外では良くも悪くも豪快な部分がありますので、「根本からしっかり綺麗にしてあげるね」なんて親切なノリでやってしまったのかな、なんて想像してしまいます。

薬剤関係なしにシャンプーしても顔面までビッショビショになるとか日本では考えられないことがザラにありますからね笑

ちょっと話は逸れましたが、元の話に戻すといったん日本ではお客様に何もなくてよかったです。日本の美容師のリテラシーの高さにはホッと胸を撫で下ろしますね。

しかし、もう一つ懸念することがあります。

それは美容師さんに体調を崩している方はいないのか?ということです。美容師という仕事自体は素晴らしい仕事だと思いますし、私も好きです。

ですが、かなりハードな肉体労働であることも事実で、体調を崩したり悪いところを騙し騙し頑張っている方も多くいます。

そんな中でグリオキシル酸の副作用です。

肌の強い美容師さんの多くの方が自分の肌の強さを過信、もしくは手袋をめんどくさがる傾向にあります。

人によってはトリートメント、カラー、パーマ、すごい方はブリーチでもなんでも素手で施術する、一定数こういう美容師さんがいます。

確かに皮膚は強いんだと思います、しかしグリオキシル酸の場合は皮膚ではなく経皮吸収から腎臓にダメージがいきますので皮膚の強さは関係なかったりします。

お客様に余計なダメージやリスクがないようにするのは当然として、美容師さんも体を大切にしてほしいと願うばかりです。

まとめ

今回は髪質改善や酸熱に使用されているグリオキシル酸についての記事でした。

トリートメント=いい物 と単純に考える物ではなく、何事も程よい量や加減が必要ですね。

くらの美容室では偶然グリオキシル酸を使用した物は置いていませんでしたが、あくまで偶然で危険性があるから避けていたわけではありません。

今後、導入する可能性も0ではありませんし、よく勉強しスタッフに周知することを徹底していかなければと気持ちを引き締め直しました。

この記事が皆様の美髪の助けになれば幸いです、では次の記事でお会いしましょう。


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